「とんぼ玉」という言葉が歴史上に登場するのは、江戸時代中期にまで遡ります。享保17年（1732年）に発刊された「万金産業袋」で使われたのが 確認できる最古の事例と考えられています。
当時は、ヨーロッパや中国など、海外から舶載された様々な文様の玉に、文様毎の呼び名がつけられていたようですが、時代を経るに従って、文様のある玉（ビーズ） を全てが「とんぼ玉」と呼ばれるようになったようです。

　では、文様のあるガラスビーズの歴史はどうかといえば、それは3500年前にまで遡ると考えられています。

　従って、「とんぼ玉」と呼ぶことのできるガラスビーズは 3500年前から現代にいたるまで、連綿と作り続けられてきたことになります。
　「とんぼ玉」と一口にいっても、現代の作家さん達が作っているものもあれば、過去において作られた古いとんぼ玉も存在するわけです。

パンダモでは、古代から近世にいたる長い歴史の中で、様々な地域で見つかる古いとんぼ玉を扱っております。

一つは世界各地で出土する「古代のとんぼ玉」。古代の定義自体は諸説あるかもしれませんが、アンティークビーズの世界では、「古代とんぼ玉」という表現を使う場合は、紀元前から中世（16世紀頃）までに作られた玉をまとめて指すのが一般的です。ほとんどの玉が発掘され出土した形で流通します。
主な古代とんぼ玉（古代ガラスビーズ）の出土地としては、地中海沿岸域を中心に西アフリカの一部、アフガニスタン周辺の中央アジア、インドネシア等の東南アジア諸国、ヨーロッパの一部、ロシア、中国、韓国、日本などがあり、ユーラシア大陸を中心とした広い範囲に渡って出土が確認されています。
これは古代において、ガラスビーズが交易によって世界中に伝播されたことを物語っているといえるでしょう。

もう一つは、ヴェネチア・ボヘミアなどのヨーロッパ諸国によって大航海時代から第二次大戦のころまで作られたガラスビーズ達です. 一般的に「アンティーク」の意味するところは１００年以上前の古い品を指しますが、ガラスビーズ、とんぼ玉の世界では第二次世界大戦を挟んで そのクオリティーが大きく変化することになりますで、第二次大戦以前に作られた（～1940年代ころ）ものをアンティークと呼んでいいのではないかと考えています。
　また、アンティークとんぼ玉を語る上で欠かすことができないのが、世界中に愛好者をもつ「トレードビーズ」と呼ばれる一群のビーズです。
日本語では「交易玉」と呼ばれています。 アフリカ諸国や北米のネイティブアメリカン、東南アジアの少数民族との交易を目的として作られたビーズ群を指し、 1400年代の終わり頃から1900年代の中頃（第二次大戦中）までヴェネチア・ボヘミアを中心としたヨーロッパ諸国によって製造され輸出されていました。
トレードビーズは交易用に長い期間に渡ってたくさんの数が作られ、現在は主たる輸出先であった西アフリカの国々で見つかることが多いです。 対アフリカ交易は、1800年代の中頃から1900年代初期にかけて最盛期を向かえ、現在市場に流通しているトレードビーズのほとんんどがこの時期に作られたものです。

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