1900年代初期 ヴェネチア製ホワイトハーツ/ホワイトハート | 現代 チェコ製ホワイトハーツ/ホワイトハート |
通称: ホワイトハーツ(ホワイトハート) -white hearts- 年代: 1800年代―1900年代 原産: ヴェネチア他 別名: Cornaline d'Aleppo カーネリアン デ アレッポ |
ホワイトハーツはアンティークビーズ(トレードビーズ)の中でも最もその名が知られ、多くの人達に愛されてきたビーズの一つです。イタリアのヴェネチアで作られ、アフリカ・アジア・北米と広い地域に渡って輸出されました。
一番最初にホワイトハーツ(ホワイトハート)の名前が文献に登場するのが、1924年フランスの製作した「ムラーノのヴェネチアンビーズサンプル表」においてです。,ここには赤いホワイトハーツは「Red Aleppo レッド アレッポ」黄色いホワイトハーツは「Yellow Aleppo イエローアレッポ」の名前で記されています。
ホワイトハーツ(ホワイトハート)はコアの部分に白いガラスを配しその周りに色ガラスを被せることで色ガラス(赤・ブルー・オレンジ・グリーンなど)の発色をより美しくしているのは皆様もご存知のとおりです。真ん中が白いので「ホワイトハーツ」とよばれています。
また、イエローハーツ同様、特に大きい物は「Cornaline d'Aleppo カーネリアン デ アレッポ」の名で親しまれています。
北米のネイティブアメリカンに愛されたホワイトハーツ(ホワイトハート)はあちらでは「Hudson Bay Beads」と呼ばれています。これは、その昔、ビーズがヨーロッパからもたらされた際使われた港(ハドソン湾)の名前が由来となっているようです。
西アフリカでは、小さいホワイトハーツ(ホワイトハート)を親しみをこめて「Rikiki リキキ」と呼びます。
ホワイトハーツ(ホワイトハート)にはいくつかの色がありますが、中で赤がもっとも多く作られました。古来より赤い色は強いパワーを持ち、身につける者に力を与え守ってくれると人々に信じられてきました。そういう意味合いからも赤いホワイトハーツの需要があったのでしょうね。アジアの少数民族の女性たちは「けし粒」のように小さなホワイトハーツをたくさん束にして首にかけています。その御守りを、母から娘へと受け継いでゆくのです。
形は丸・卵型・チューブ型・スライス・両面円錐などがあります。
赤以外では、ごく一部ですが黄色やオレンジ、ブルーのチューブ型が確認されています。
但し、アンティークのホワイトハーツが少なくなってきたため、レプリカ(フェイク)が数多く出回っています。
中国・インド・インドネシア・チェコなどで現在も生産されています。現在も大量に生産されているものですので、ビンテージとしての価値はありません。
特にアンティークとして市場に大量に出回っているのが、2枚目の写真のような現代チェコ製のホワイトハーツです。
(赤・オレンジ・黄色・緑・水色・紺など)アフリカ人がチェコから仕入れ、アフリカで表面にプロセスを加え古色をつけます。
繋ぎも通常のアンティークビーズ同様ラフィアで繋いでいます。
ネット上でも、この手の新しいホワイトハーツをアンティークとして販売しているケースがありますので注意が必要です。
血赤のホワイトハーツは人気がありますが、アンティークものは、現在では極めて品薄です。これにはインド製のコピーが存在し、やはり
ネット上でアンティークとして流通していますので合わせて注意が必要です。
【雅】
ローマ期モザイク人面玉(銅赤) | 明治期ワイングラス(金赤) | 昭和初期ワイングラス(セレン赤) |
いろいろなホワイトハーツをご覧になった方なら同じ赤でも色々な赤の種類があるのを感じられることと思います。
時代の古いものほど深みのある赤であることに気がつかれた方も多いのではないでしょうか。
なぜ、古いホワトハーツは魅力的な色をしているのか・・・100年、200年くらいでガラスの色に劇的な変化が起こることはあり得ません。
つまり、「赤」の違いは経年変化によるものではないんです。
では、何故か・・・ガラスを発色させるにはそれぞれの色を発色させるための金属を使用します。
時代によって「赤」を発色させるために異なる金属を使用していたために、時代によって異なる赤をまとったホワイトハーツが出来上がったのです。
「赤」を発色させるには一般的には①銅②金③セレニウム(セレン)が使われます。
そのため、それぞれの金属によって発色した「赤」を①銅赤②金赤②セレン赤と呼ぶこともあります。
使われた時代を考えると銅が使われたのが最も古くローマ期のとんぼ玉やイスラム玉にも多く銅が使われています。
古代玉のやや黒味がかったような茶褐色は全て銅による発色なんです。
次に使われたのが金ですが、これはごく一部の例外を除いて1600年代以降になります。
日本では明治から昭和初期のガラス器に金を使った金赤の美しいガラス器が作られました。
金赤は、ピンクがかった赤で最も品があり、高級感がある赤です。
セレンは1920年代以降に使われ始めたもので、日本でも大正から昭和初期にかけてセレン赤のガラス器が作られ始めました。
ホワイトハーツに関しては、1800年代頃の古い世代のものは、その赤が深く、発色に金や銅が使われています。
1900年代に入ってからセレンを使って作られたものは、明るい健康的な赤をしているんです。[慎]
1900年代初期ヴェネチア製
赤以外の例外の色が存在するのがチューブ型のホワイトハーツなんです。
チューブ型のホワイトハーツには「赤」「黄色」「オレンジ」「ブルー」が存在します。
中でも、何故か黄色のチューブはインドネシアで見つかることが多いです。
逆に言えば、チューブ型以外のホワイトハーツで「赤」以外の色のものは、ヴェネチア製の古いものではなく 現代のチェコ製のものである確率が極めて高いと思っていただいて良いかと思います。
found in Indonesia | found in Indonesia | found in West Africa | found in West Africa |
当店でも毎日のように問い合わせを受けています。
インディアンジュエリーや、若い男性に人気のブランドなどでも使用しているためからか、ご注文やご予約をたくさんいただいております
。 ただ、残念ながら本物のアンティークホワイトハーツは年々品薄になっております。
下の色とりどりのホワートハーツをご覧ください。
下の写真のようなホワイトハーツはアンティークものではなく、1990年代から現在までチェコで作り続けている現代のものです。
これらは、現在、大量に生産され世界中に流通しております。
アフリカ人ディーラーがこれを大量に仕入れて、アフリカで多少の古色をつけラフィアに通して流通させているため、「アンティーク」として販売しているケースも少なくありません。
また、ホワイトハーツをお探しの方は、鹿皮の紐を通して使われる方がほとんどですので、穴の径が大きめのものをお探しです。
しかし、残念ながらほとんどのアンティークホワイトハーツは穴径が小さいのです。
チェコ製の現行品のホワイトハーツは穴径が大きめなのも特徴です。
また、写真のような形の「水色」「緑」「黄色」「濃紺」などのアンティークホワイトハーツというものは存在しないと考えて支障ありません。 (慎)
紡錘型 | Cornaline d'Aleppo | 希少な極太 | シリンダー型 |
1800年代中期‐後期 ヴェネチア製
特にアフガニスタンで見つかるホワイトハーツファンシーは、極めて希少なコレクタブルビーズです。
found in West Africa | found in Afghanistan | found in Afghanistan | found in Afghanistan |
found in West Africa | found in West Africa | found in West Africa | found in Afghanistan |
found in Afghanistan |
1800年代中期‐後期 ヴェネチア製
銅赤と思われる深い赤の存在感抜群のホワイトハーツです。
ホワイトハーツの最高峰と言ってもよい素晴らしいビーズです。